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令和元年度 修了証書授与式(第22期生) 学校長式辞

 二十二期生のみなさん、本日、無事卒業を迎えられたこと、心からお祝い申し上げます。
 在校生とともに、教職員一同、みなさんの門出を祝福致します。 
 本日は、晴れ姿を見る事を待ち望んでいらっしゃった保護者の方々や、みなさんの成長を共に祝って頂く筈のご来賓が同席出来ないこととなりました。現在の社会情勢を踏まえ、本学の判断でこの式典を開催する運びとはなりましたが、このような形になったことは誠に残念であります。しかし、卒業生のみなさんは二年間で立派な成果を挙げられたことには変わりはありません。胸を張ってこの伊佐沢の山から巣立って行って下さい。

 二年前、みなさんが入学した当時、ちょうど、この長井の地が国の重要文化的景観に選定された直後でした。入学式の式辞でもそのことに触れましたが、山や川といった自然を背景にしながら人々の長い営みによって生み出された文化的景観の中に二年間過ごされて、みなさんはどのように感じたでしょうか。決して都会では得られない、まちの趣や人々との暖かい交流が胸に刻まれていると思います。これから色々な土地で生活し、仕事をすることになると思いますが、この地で得られた「土地柄に対する感覚」を忘れないで欲しいと思います。

 みなさんが学びに励んだ建築は、こういった景観を形作る重要な要素ですが、残念ながら昨年来、各地で建築や景観が失われる様々な不幸がありました。四月十五日、パリのノートルダム大聖堂の火災、九月九日、房総半島の台風および十月十二日の東日本台風による広範囲にわたる甚大な被害、そして十月三十一日、沖縄首里城の焼失。今まで身近にあった建物や景観が一瞬にして失われる衝撃が繰り返し襲ってきたのです。そして、今、世界を脅かしているウィルスも人々の営みに多大な影響を与え、それに伴ってまちの風景を大きく変えています。我々が正月気分を味わっていたほんの二ヶ月前、まさか世界中がこのような事態に陥るとは想像だにしていませんでした。これらから言える事は、平穏な生活がいつまでも続くとは限らない、ということです。

 今年度の入学式で私は鴨長明の『方丈記』に触れました。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、又かくのごとし」
みなさんの学びの心構えのつもりで取り上げましたが、まさか実際にこれほど厄災が頻発するとは思ってもみませんでした。人も住居も永遠ではない、生まれては消え、また生まれる、これを繰り返す。ものづくりに携わる立場として、いつかは失われるということに無力感を覚えるかもしれませんが、悲観的になりすぎないで下さい。被災した人々は前に進んでいきます。そのために建物やまちは必要です。これからもみなさんの力を求める人々がいます。ただ、当面、建設業界を始め、社会情勢は予断を許しません。卒業生のみなさんは通常とは異なる状況のなか、社会に旅立たねばなりません。前が見通せず厳しいことも予想されますが、むしろこれをバネとして、人や建物は永遠ではないという緊張感を持って仕事に当たって行って下さい。

 「みなさんが「ヒトビト」のための技術者として成長されていることを期待します。」二年前の入学式で私はこう式辞を結びました。建築や家具・道具というハードしての「モノ」を作るだけではなく、これを使う「ヒトビト」を常に念頭において、さらに「モノ」と「ヒト」を結びつけるソフトとしての「コト」を踏まえた取り組みが、これからの社会の活性化に必要とされています。「モノ」「ヒト」「コト」です。
 みなさんは二年間を振り返って自分の成長を実感しますか。そして、これからどのように歩んでいくのでしょうか。これは一人ひとりにかかっています。

 卒業生諸君の更なる成長を期待しつつ、改めてお祝いを申し上げて、式辞と致します。本日は誠におめでとうございます。


 令和 二 年 三 月 二十一 日 
     
                           山形工科短期大学校 学校長 小幡知之

2020.04.15:[お知らせ]
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