【学校長挨拶】

住環境を創出する若者を応援します

学校長 小幡 知之
博士(工学)建築史

 かつての産業革命に匹敵するほど、 近年、ICTやAIに代表されるコンピューター関連を中心とした技術革新が想像を絶する勢いで進んでおります。特にこの数年は、年ごとに格段の進歩を遂げ、ヒトの役割自体の再考を促すまでに至っております。一方で、国内では若年者の急速な減少や、地域社会の衰退など、解決策がすぐには見出せない問題が山積しております。


 このような時代において、住環境の分野はどのように対応すべきでしょうか。
 高度な技術を追求することも重要ですが、我々は昔から受け継がれてきた”伝統”を大切にしたいと考えています。地道にヒトビトと関わり、自らの手でモノを造り出していく分野は否定されるどころか、今後、益々必要とされることでしょう。1世紀以上前のアーツ・アンド・クラフツ運動を振り返るまでもなく、技術が進歩し、モノ・コトが規格化され精密に、厳格になればなるほど、ヒトはゆらぎ、暖かみ、ぬくもりを求めるものではないでしょうか。
 建築の歴史を専門にする私は、星霜を経た寺院や神社、民家などの柱、梁、床板などから感じられる、落ち着いた佇まい、貫禄、そして穏やかさに魅了されて止みません。はるか縄文時代の昔から、連綿として木を使ったものづくりにいそしんできた、わが国の職人達の素晴らしい取り組みは、新技術の時代を迎えても衰えることなく発展していくでしょう。


 近年、都市におけるビルの木造化が現実のものとなり、古い木造建築のリノベーションにより新たな命を吹き込むことに社会の大きな注目が集まっています。戦後、片隅に追いやられた木造建築にとっては、まさに捲土重来であり、ようやく適切に再評価される時代を迎えました。そしてまた、本県では「やまがた森林ノミクス」と銘打ち、豊かな森林資源による地域活性化を強く推し進めています。木材の活用を学ぶ上でこれほど適した時代・環境はないと言えます。


 我々は建設業界の最新の動向を踏まえつつも、これからも自然素材である木材の良さを将来に伝えるべく、その技術者・技能者を目指す若者を育てて参る所存です。若い学生諸君においては、是非、木造建築を礎として新たな住環境の物語を紡いでいって頂きたいと心から願います。